妊娠期
妊娠中期
出産後、赤ちゃんの歯が生え始める生後6カ月くらいまでは、お世話で大忙しの時期。妊娠中の今のうちに、赤ちゃんの歯の健康について調べておけば、安心して対応できます。赤ちゃんの歯が生えるのはいつか、どんな準備をしてどうケアすればよいのか、小児歯科医・歯学博士の坂部潤先生にお話を聞きました。
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妊娠中のママやパパは、出産に備えていろいろな準備をされていることと思います。あわただしい産後の生活に備えて、余裕のある今のうちに“赤ちゃんの歯”についても予習しておくと安心です。歯が生えてくる時期や歯のケア方法など、ママやパパに知っておいてほしい知識をまとめました。
個人差はありますが、赤ちゃんは生後6カ月くらいから下の前歯が生えてきます。1歳くらいで上下4本ずつ、計8本の前歯が生えそろい、1歳半くらいで奥歯が生えはじめます。そして2歳半くらいで上下計20本、すべての乳歯が生えそろうのが一般的です。ただし、あくまで目安ですので、半年程度の個人差があることも珍しくありません。
なお、出生時にすでに下の前歯が生えていることを「先天歯(せんてんし)」といい、数百人に1人のケースで発生します。心配するほどの症状ではありませんが、乳首が痛んで授乳がスムーズにいかないケースもあります。そのさいは歯科医院で処置ができますので、ご相談ください。
歯みがきを始める時期は、下の前歯が生えてくる生後6カ月が目安ですが、いきなり口の周りを触ったり、歯ブラシを口の中に入れたりすると、赤ちゃんが驚いて口を開けてくれないことがあります。
歯みがきの準備として、歯が生える前から普段の赤ちゃんとの遊びの中で、唇や口の周りを優しく触るなど、口の周りを触られることに慣れさせてあげるとよいです。
また、歯ブラシに慣れさせるために歯が生える少し前から、「口の中にスプーン以外の硬い物が入ること」を経験させておくと、歯ブラシを嫌がりにくくなるといわれています。ママやパパがそばで見守っている時に、歯がためなどで口の中にスプーン以外のものが入る感覚を知ってもらうこともよいでしょう。
下の前歯が生えたら、「仕上げみがき専用」や「0~2才用」などと書かれた赤ちゃん用の歯ブラシで、歯の表裏を優しくみがくことをおすすめします。歯が生えはじめのころは、まずは歯みがきに慣れることを目標にしましょう。
歯みがきに慣れてきたら、フッ素配合の歯みがき剤も使いましょう。うがいができないうちは、みがいた後に軽く拭きとってあげてもよいでしょう。
赤ちゃんにかぎらず、子どもの歯をみがくときは、両手を使う必要があります。赤ちゃんを膝の上に置くか太ももの間に挟み、利き手で歯ブラシを持って、もう片方の手を優しく口にそえます。この時に、歯ブラシは鉛筆を持つように持つと力のコントロールがしやすくなります。力が強くならないように気をつけながら、シュッシュッと手早くみがきましょう。
赤ちゃんの口を無理に開けようとすると嫌がったり、赤ちゃんが驚いてかんでしまうこともあるので注意しましょう。自然に口を開けてもらうコツは、赤ちゃんの唇と歯ぐきの間の空間(口腔前庭=こうくうぜんてい)に指を優しく入れて少しこすること。こうすると、赤ちゃんはくすぐったくなって口を開けてくれることがあります。
その他にも、赤ちゃんが眠くない時や機嫌のよい時を選ぶことや、ママやパパが笑顔で優しく声をかけて、赤ちゃんを安心させてあげることも大切です。
お子さんの歯と口にトラブルが起きる前に、これから長い付き合いになる、かかりつけの歯科医院を見つけておくとよいでしょう。特に出産後は赤ちゃんのお世話で忙しくなりやすいので、妊娠中の自分の時間があるときに、赤ちゃんのかかりつけの歯科医院を探しておくと安心です。
乳幼児も診てくれる歯科医院なら多くの場合、口の中にむし歯などの問題が無くても、歯と口の気になることを相談できる場所です。例えば、赤ちゃんが歯みがきを嫌がる理由は、みがく力が強い、口の開け方が強引で痛い、みがく時の雰囲気が怖いなど様々です。歯みがきを嫌がっていなくても、みがき方が優しすぎて汚れがきちんと落ちていないこともあります。
お子さんの口の状態を見て、お子さん一人ひとりに合った歯みがき方法やみがき方のコツ、歯みがき用具の選び方など、歯科医師や歯科衛生士が教えてくれます。
また、お子さんが小さいころからかかりつけの歯科医院に通い続けることで、お子さんの口内環境のデータが蓄積されて、「むし歯になりそうな状態」などに早く気づき、対処することができます。お子さん自身もだんだん歯科医院の雰囲気や先生に慣れて通いやすくなるメリットもあります。
歯科医院の中には、子どもを専門に診る「小児歯科」があります。ただ、日本小児歯科学会が認定している「小児歯科専門医」は全国にある歯科医院の中でそれほど多くありません。
近所に小児歯科専門医のいる歯科医院があればそこに通えますが、ない場合は子どもも診てくれる歯科医院を探すことが大切です。一般的な歯科医院の中でも、幼少期からの歯の予防に力を入れているところや、赤ちゃん・子どもを歓迎しているところもたくさんあります。
「ファミリー歯科」「子ども歯科」などの名前や、ホームページの情報、ご近所の口コミを参考にしたり、実際にママやパパが足を運んでみたりと、できれば自分の時間を取りやすい妊娠中に調べておくことをおすすめします。
歯科医院の中には、対象年齢を「0歳から」としている歯科医院もあります。下の歯が生えた生後6カ月以降や1歳半健診をきっかけに通院を始めるご家族が多い印象です。診察のさいは「歯ブラシはどういうふうに使えばいいですか」、「歯みがき剤は使った方がいいですか」といった、歯みがきやむし歯予防に関する相談が多いです。
歯科医院への初めての予約のさいは、「今、生後8カ月で歯医者さんは初めてです。歯の状態と、歯のみがき方について教えてほしいです。」というように、「初めての受診なのか」、「お子さんの月齢」、どんな「目的」で受診したいかを伝えるとよいでしょう。
母子健康手帳には、かかりつけの歯科医院を記入できるページや赤ちゃんの歯と口の健康について記載されているページもありますので、ぜひ活用ください。
ママの妊娠中の準備として、出産前にぜひ口の中のメインテナンスもしておいてほしいと思います。つわりが落ち着いて体調が安定する妊娠中期ころに、歯科医院を受診するとよいでしょう。
妊娠中は、女性ホルモンが増え、唾液の量と質が変わることで口内環境が変化して、むし歯や歯肉炎などのトラブルが起こりやすくなります。治療していないむし歯があると口の中でむし歯の菌のミュータンス菌が増え、将来的に親子での伝播によって赤ちゃんの歯にも影響する可能性があります。万全の状態で赤ちゃんを迎えるために、ママだけでなくパパも口のケアをしっかりして、清潔に保っておくことが大切です。
妊娠中は、ママやパパの口のケアをおすすめします。かかりつけ歯科医院でクリーニングを受けるなど、産後に備えて口の中をきれいに整えておくと万全の体制で赤ちゃんを迎えられますよ。
坂部 潤(小児歯科医、歯学博士)
日本小児歯科学会認定小児歯科専門医。東京・目黒、成城、麻布、代々木上原にある小児歯科専門医院キッズデンタルを開業。継続管理型の小児歯科専門医療を提供している。
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生まれてくる赤ちゃんの歯のケアとあわせて、「妊娠中に整えておきたい生活習慣のポイント」についても知っておきましょう。
出産するまでの間、どのようにママの体調管理やおなかの赤ちゃんの健康に気をつけていけばよいのでしょうか。つわりが軽くなり、少し余裕がでてくる安定期から整えていきたい、ママやパパ、将来の赤ちゃんの健康づくりにも役立つ生活習慣のポイントを、産婦人科医・医学博士の竹内正人先生がアドバイスします。
ママとパパは最近赤ちゃんの歯のことを調べたり、歯医者さんに通って自分たちの歯をきれいにしたりしてるんだって。「おチビちゃんが生まれたときのためだよ」って2人で話してるみたいだけど、わたしのためってどういうことなんだろう?