乳歯入門
生後〜2歳半頃
赤ちゃんの歯ぎしりは、大人のように病気やストレスなどが原因ではなく、成長の過程で起きる現象です。基本的に心配はいりませんが、あまりに大きな音だと本当に大丈夫なのか心配になりますよね。
今回は、「歯ぎしりで歯は欠けないか心配」「歯医者さんに受診したほうがいい?」など、ママやパパからあがる質問や疑問について、小児歯科医・歯学博士の坂部潤先生が解説します。
歯ぎしりとは、無意識のうちに上下の歯をかみ合わせたり、かみしめたりして動かしている現象です。寝ている時だけでなく、日中起きている時に歯ぎしりをしていることもあります。
子どもの歯ぎしりは、成長に伴うかみ合わせのずれを、脳が修正しようとして起こる生理的なものなので、中学生くらいまでは様子を見ましょう。
赤ちゃんは、生後半年くらいから下の前歯が生えてきます。生後8カ月ころになって上の歯が生え始めると、歯と歯がぶつかり合い、歯ぎしりの音が出始めます。
その後1歳くらいで奥歯が生えてきて、2歳半にかけて次第に乳歯が生え揃いますが、その過程で脳がかみ合わせを整えようとするので、歯ぎしりの回数が増えてくることがあります。
赤ちゃんの歯ぎしりとはいえ、「ガリガリガリッ」とヤスリで削っているような大きな音がすることもあります。そのため「大丈夫でしょうか?」「歯が削れてしまっていませんか?」などと心配して来院するパパやママもいます。
しかし、実際に歯が削れていたり、歯が欠けたりすることはほとんどありません。あくまで一時的なもので、治療の対象になることは少ないので安心してください。
また、寝ている時に赤ちゃんを起こすなどをして、無理にやめさせなくても大丈夫です。上下の歯のかみ合わせが整うにつれて自然におさまっていきますので、成長過程として見守っていきましょう。
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【小児歯科医監修】乳歯についてのママとパパの悩みを解説します(1)歯ぎしりによって歯がぐらぐらしたり、歯に負担がかかりすぎて歯がすり減るケースも、ごくまれにあります。こうした症状が見られる時は早めに歯科医院に相談をしましょう。
なお、歯ぎしりが原因で歯が歯ぐきに当たって血が出ることがありますが、すぐに血が止まるようであれば心配いりません。頻繁に出血したり血が止まらない場合は、歯科医院に相談しましょう。
赤ちゃんの歯ぎしり自体が問題になることはまずありません。ただし、3歳以降で、歯ぎしりをしていて不正咬合がみられる場合は、治療が必要になることがあります。
例えば、歯ぎしりで歯が異常にすり減ってしまう原因の一つに、受け口(下顎前突=かがくぜんとつ)があります。かみ合わせが悪いため、下の前歯が上の前歯を削ってしまうのです。こうした場合は、不正咬合を治すための矯正治療が必要です。
その他にも、原因は様々ですので心配な場合は歯科医院に相談しましょう。
ごくまれなケースですが、歯ぎしりによる歯のすり減りがひどい時は、3歳以降の幼児期に歯型をとってマウスピースを作ることがあります。幼児期はあごの成長や生え変わりがあるため、成長に合わせてマウスピースを作り替える必要があります。幼児期の成長は早く、半年もたたずにサイズが合わなくなり使えなくなることもあるため、定期的に歯科医院でチェックしてもらいましょう。
乳幼児期の歯ぎしりは生理的な現象で、成長の証でもあります。音が激しい時は大人が耳栓をするなど、長い目で見守ってもらえたらと思います。
坂部 潤(小児歯科医、歯学博士)
日本小児歯科学会認定小児歯科専門医。東京・目黒、成城、麻布、代々木上原にある小児歯科専門医院キッズデンタルを開業。継続管理型の小児歯科専門医療を提供している。
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わたしが寝ている時、ギリギリって大きな音で歯ぎしりをしているんだって。ママとパパが「あんなにすごい音で歯ぎしりしていたら、歯が削れないか心配…」って話し合ってる。歯は痛くないし平気なんだけど、治したほうがいいのかな?