歯みがき剤
歯みがき剤とは
歯みがき剤は、歯ブラシと一緒に用いて歯口清掃効果を高めるためのものです。歯口清掃効果だけでなく、むし歯や歯周病の予防・抑制、口臭除去などの効果のある薬用成分を配合している歯みがき剤(医薬部外品)が90%以上あります。
歯みがき剤の効果
効率よくプラーク(歯垢)を除去する
「歯みがき剤をつけてみがいた場合」と「歯みがき剤をつけずにみがいた場合」の比較を目的に、歯みがき回数10回、20回、30回での歯垢除去率を測定しました。その結果、どの歯みがき回数でも歯みがき剤をつけた方が歯垢除去率が高いことが分かりました。
つまり、 歯みがき剤を使用すると効率よくプラークを除去できるということです。
プラーク(歯垢)をつきにくくする
歯みがき剤を使用して1週間歯みがきした場合と、歯みがき剤を使用しないで1週間歯みがきした場合の歯垢付着量を比較すると、下図のように歯みがき剤を使用して1週間歯みがきしたほうが、しない場合より、歯垢付着量が減少することが統計的に証明されました。
また、歯みがき剤使用量が増えると歯垢付着量が減ることを示す実験結果も報告されています。
これらの結果からも、歯みがき剤を使用して歯みがきした方が、歯みがき剤を使用しないで歯みがきするより効果的にプラークを除去し、プラークをつきにくくすることがわかっています。
歯の本来の白さを保つ(色素沈着物を除去する)
飲食物中の色素やタバコのヤニなどによる色素沈着物を取り除き、本来の歯の色を保ちます。
口臭を予防する
口の中全体を清潔にすることによって、効果的に口臭の除去・防止ができます。
薬用成分の働き
歯みがき剤には、むし歯予防効果のあるフッ素(フッ化物)や、歯周病予防効果のある殺菌剤などの薬用成分が配合されているものがあります。自分の症状や目的に合った薬用成分が配合されている歯みがき剤を使用することで、歯とお口の健康度がアップします。
歯みがき剤の種類
医薬部外品と化粧品の違い
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)により、歯みがき剤は化粧品と医薬部外品に分けられています。
化粧品の歯みがき剤は基本成分だけが配合されていますが、医薬部外品の歯みがき剤には薬用成分が含まれており、様々な効能・効果があります。
現在日本で市販されている90%以上の歯みがき剤は医薬部外品です。
薬用成分による違い
目的 | 薬用成分 | 働き |
---|---|---|
むし歯予防 | モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP) フッ化ナトリウム(NaF) |
歯質強化 再石灰化の促進 酸産生の抑制 |
プラーク(歯垢)除去 | デキストラナーゼ(酵素) | プラークの分解 |
歯周病(歯肉炎・歯周炎)の予防 | トラネキサム酸 | 出血防止 |
ε-アミノカプロン酸 グリチルリチン酸ジカリウム β-グリチルレチン酸 |
抗炎症作用 | |
IPMP(イソプロピルメチルフェノール) 塩化セチルピリジニウム(CPC) トリクロサン |
殺菌作用 | |
オウバクエキス | 収れん(歯肉のひきしめ)作用 抗炎症作用・殺菌作用 |
|
塩化ナトリウム | 収れん作用 | |
酢酸トコフェロール(ビタミンE) | 血行作用 | |
歯石予防 | ポリリン酸ナトリウム ピロリン酸ナトリウム |
歯石形成の抑制 |
冷たいものが歯にしみるのを防ぐ | 乳酸アルミニウム | 象牙細管の封鎖 |
硝酸カリウム | 刺激の伝達を防ぐ | |
歯のヤニをとる | ポリエチレングリコール | ヤニの溶解 |
口臭の防止 | LSS(ラウロイルサルコシンナトリウム) | 殺菌作用 |
歯みがき剤の使用方法
使用時の量について
薬用成分(特にフッ素)の配合されている歯みがき剤を使用する場合、配合されている薬用成分の働きをできるだけ高めるために、年齢に応じた量(成人で約1g)を使うようにしましょう。
年齢 | 使用量 | 歯みがき剤の フッ素濃度 |
洗口その他の注意事項 |
---|---|---|---|
6ヶ月(歯の萌出) ~2歳 |
切った爪程度の少量 |
500~1,000ppm | 仕上げみがき時に保護者が行う。 |
3~5歳 | 5mm以下 |
500~1,000ppm | 就寝前が効果的。 歯みがき後5~10mlの水で1回程度洗口。 |
6~14歳 | 1cm程度 |
1,000ppm | 就寝前が効果的。 歯みがき後10~15mlの水で1回程度洗口。 |
15歳以上~成人 | 1~2cm程度(約1g) |
1,000~1,500ppm | 同上 |
- ※フッ素濃度1,000~1,500ppmの歯みがき剤は6歳未満の子どもには使用を控えましょう。
日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編)
「フッ化物局所応用実施マニュアル」2017を一部改変
使用後のうがいについて
過度にならないよう1回(15ml程度の水)で5秒程度行いましょう。
監修:神奈川歯科大学 特任教授 荒川浩久
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