歯ブラシでのみがき方基本
歯みがきの必要性
歯みがきの最大の目的はプラーク(歯垢)を落とすことです。
プラークは生きた細菌の塊で、むし歯・歯周病などの原因になりますが、歯と同じような乳白色をしているため、注意してみがかないとみがき残してしまいます。さらに、水に溶けにくく、歯の表面に粘着しているため、うがいでは取り除くことができません。 歯みがきによって、このプラークを取り除きむし歯や歯周病などにならないようにすることが大切です。
歯みがきの方法
プラーク(歯垢)のつきやすいところは特に注意してみがきましょう
「歯と歯の間」、「歯と歯肉の境目」、「かみ合せの面」はプラークがつきやすいところです。これらの部位に歯ブラシの毛先が届くように意識してみがきましょう。順番を決めてみがけば、みがき忘れを防ぎ、すべて均等にみがけます。
また、歯と歯の間の歯垢は歯間清掃用具(デンタルフロス、歯間ブラシ)も併用すると効果的に歯垢を除去することができるので、活用しましょう。
![歯みがきのポイント 1:歯の裏側、表側、かみ合わせの面と分けてみがくようにしましょう。 2:みがき残しをしないように、順番を決めてみがきましょう。](/labo/article/care/image/01_im01.png)
歯ブラシの当て方、動かし方、力加減を意識してみがきましょう
歯みがきには「毛先の当て方」、みがく時の「力加減」、「動かし方」の3つのポイントがあります。この3つのポイントを意識しながらみがきましょう。また、プラークは粘着性が高いので、1ヶ所20回以上みがくようにしましょう。
3つのポイント
![毛先を歯面(歯と歯肉の境目、歯と歯の間)にきちんとあてる 150~200gの軽い力(毛先が広がらない程度)でみがく 小きざみに動かす(5~10mmを目安に1~2歯ずつみがく)](/labo/article/care/image/01_im02.png)
口の状態に合わせて工夫してみがきましょう
「歯みがきの3つのポイント」を守りながら、お口の状態に合わせ、工夫してみがきましょう。
かみ合わせは
![かみ合わせの部分は奥から前に歯ブラシを動かしてみがきましょう。](/labo/article/care/image/01_im03.png)
かみ合わせの部分は奥から前に歯ブラシを動かしてみがきましょう。
前歯の裏側は
![歯は丸くカーブしているので歯ブラシを横から当てるだけでは当たらない部分があります。](/labo/article/care/image/01_im04.png)
歯は丸くカーブしているので歯ブラシを横から当てるだけでは当たらない部分があります。
![歯ブラシを縦に当ててみがきます。歯ブラシのつま先やかかとを上手に使いましょう。](/labo/article/care/image/01_im05.png)
歯ブラシを縦に当ててみがきます。
歯ブラシのつま先やかかとを上手に使いましょう。
凸凹歯並びは
![歯ブラシを横から当てるだけではへこんでいる部分に毛先が当たりにくいです。](/labo/article/care/image/01_im06.png)
歯ブラシを横から当てるだけではへこんでいる部分に毛先が当たりにくいです。
![凸凹している歯1本1本に歯ブラシを縦に当てて毛先を上下に細かく動かしてみがきましょう。](/labo/article/care/image/01_im07.png)
凸凹している歯1本1本に歯ブラシを縦に当てて毛先を上下に細かく動かしてみがきましょう。
背の低い歯は
![背の低い歯には歯ブラシの毛先が当たらない。](/labo/article/care/image/01_im08.png)
背の低い歯には歯ブラシの毛先が当たらない。
![歯ブラシをななめ横から入れて、細かく動かしてみがきましょう。](/labo/article/care/image/01_im09.png)
歯ブラシをななめ横から入れて、細かく動かしてみがきましょう。
歯と歯肉の境目(歯周病予防・改善に効果的なみがき方は)
![歯と歯肉の境目に45度の角度に当て、細かく前後に動かしてみがきましょう。](/labo/article/care/image/01_im11.png)
歯と歯肉の境目に45度の角度に当て、細かく前後に動かしてみがきましょう。
歯ぐきのマッサージには(大人向け)
![歯ブラシのわき腹を歯肉に押し当てて回転させながらマッサージする方法があります。](/labo/article/care/image/01_im12.png)
歯ブラシのわき腹を歯肉に押し当てて回転させながらマッサージする方法があります。
他にもいろいろな歯のみがき方があります。詳しくは歯科医院に相談しましょう。
歯ブラシの持ち方
歯ブラシの持ち方にはにぎって持つ持ち方(パームグリップ)と鉛筆を持つような持ち方(ペングリップ)があります。みがく場所によって持ちやすい持ち方でみがきましょう。
ただし、力が入りすぎてしまう方は、鉛筆を持つような持ち方で、毛先が広がらない程度の力加減でみがくようにしましょう。
歯みがきのポイント・注意事項
「食べたらみがく」を心がけましょう。
![プラーク中の酸性度](/labo/article/care/image/01_im13.png)
食事やおやつを食べた後などは、プラーク中の細菌が糖分を代謝して酸を作ります。食後、間もなくするとプラークに覆われた歯の表面は、カルシウムやリンなどのミネラルが溶け出す酸性状態(pH5.5以下)になります。唾液の働きで元の中性状態に戻るには40分ほどかかり、その間ミネラルが溶けやすい状態が続きます。酸性状態が長く続いたり、頻繁に起きるとむし歯になります。「食べたらみがく」習慣をつけましょう。
「就寝前の歯みがき」は丁寧に必ず行いましょう
![1日の唾液分泌量の変化イメージ](/labo/article/care/image/01_im14.png)
寝ている間は唾液の分泌が少なくなり、お口の中の汚れを洗い流す自浄作用が低下するため細菌が繁殖しやすくなります。就寝前の歯みがきは特に丁寧に必ず行いましょう。
適切な歯ブラシ、歯みがき剤を選んで使用しましょう。
1.歯ブラシ
様々な種類のものがありますが、歯並びの大きさや状態、使用者の使いやすさに合わせて選択しましょう。
また、歯ブラシの毛先が開いたり、長く使用した歯ブラシでは、新しいものより汚れ落ちが悪くなります。
歯ブラシは1ヶ月に1本を目安に取り替えましょう。
2.歯みがき剤
歯みがき剤には、汚れを除去しやすくするだけでなく、つきにくくする働きがあります。
また、薬用成分によって様々な効果が期待できます。
自分の口の状態に合った歯みがき剤を使用して、効率よくプラークを除去しましょう。
歯みがき剤の薬用成分を口の中にとどめるため、大人の場合うがいは1回、少量の水(15ml程度)で行うと効果的です。
監修:神奈川歯科大学 特任教授 荒川浩久
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