ナッジを活用した歯科保健情報に関する研究活動の推進
2023年04月14日
人は正しい情報を提供されても望ましい行動をするとは限らない。近年、情報提供を補完する介入方法として、ナッジが注目されている。ナッジとは「人々を強制することなく、望ましい行動に誘導するようなシグナル、仕組みまたは戦略」です。厚生労働省はナッジ等を活用した健康づくりを推奨し、ナッジの枠組みEAST(Easy:簡単に、Attractive:印象的に、Social:社会的に、Timely:タイムリーに)の活用を推奨している。口腔健康分野でもナッジの実践が求められているが、EASTを用いた口腔健康推進活動の報告は少ない。
そこで本研究は、ナッジを活用した口腔健康行動促進の漫画冊子(以下、ナッジ型漫画冊子)を用いて、20~40歳代の労働者240名を対象に、ナッジ型漫画冊子を配布した群と情報提供型冊子を配布した群に分けウェブ調査を行い、読者の満足度等を調べました。
読者による冊子の印象は、表紙は「面白そう」、「読みやすそう」、「イラストが良い」などで、ナッジ型漫画冊子を配布した群で有意に評価が高かったです。また、「面白そう」、「読みやすそう」など、表紙と本編の印象が一致する傾向の項目も見られました。さらに、ナッジ型漫画冊子を配布した群では歯周病の知識も有意に増加しました。
以上から、ナッジ型漫画冊子は読者の評価が高く、知識向上に役立ち、特に表紙のナッジが重要と示唆されました。
本研究に関する論文が日本健康教育学会第30巻4号に掲載されました。
今後も、生活者へ届きやすい情報を検討し評価を行い、その結果を発信していくことで予防歯科推進に貢献していきます。