出生から5歳までの口腔細菌叢の形成に関する研究論文がJournal of Dental Researchに掲載されました
2024年12月20日
当財団では、2015年からライオン株式会社と共同で口腔細菌叢の形成過程を理解するために、子どもとその両親を対象に出生直後から継続して研究を行っています。
今回は、口腔細菌叢の形成が進む時期を明らかにすることを目的に、口腔細菌叢を構成する主要な細菌が検出される時期、および大人の細菌叢に近づく時期を調査しました。54名の子ども(男児27名、女児27名)とその両親を対象に、生後1週間から5歳に至るまでの唾液を経時的に採取し、次世代シークエンサーを用いて口腔細菌のDNA由来の遺伝子配列を読み取り、細菌叢データを取得しました。その結果、口腔細菌叢を構成する主要な細菌が検出される時期として1歳半で約8割、3歳で約9割が検出されました。また、子どもの細菌叢は1歳半までに大人の細菌叢に近づき、3歳から5歳までの類似度には大きな変化がなく、5歳時点での口腔細菌叢は大人と比較しても大差がないほど形成が進んでいました。特に、1歳半までにむし歯や歯周病の予防に寄与すると考えられている細菌種を含む多くの細菌が定着することもわかりました。以上の結果から3歳までの期間は子どもの口腔細菌叢の基盤が確立する時期であることが示唆され、生涯にわたり良好な口腔状態を維持するためには、この時期からの保健指導が重要であると考えられました。
当財団では今後も口腔細菌叢に関する研究を継続し、予防歯科に役立つ情報発信に努めて参ります。
雑誌名:Journal of Dental Research
タイトル:Oral Microbiota Development in the First 60 Months: A Longitudinal Study
DOI:10.1177/00220345241272011.
詳細は、ライオン株式会社発行のニュースリリースでもご覧いただけます。